煮すぎた日記

考察や感想、云々を書きます。

【ファーストガンダム】ザビ家について

はじめに

 

ファーストガンダムTHE ORIGIN全部読みました

アニメは総集編しか見てないのですが、、、

 

一応ここで留意しておいてもらいたいのが、ファーストガンダムはアニメ、劇場版、漫画、小説とその形態が複数存在し、各々によって解釈が違います。今回書き留めるつもりであるザビ家に関しても、多くの解釈が存在します。形態ごとに大きな差はないものの、多少の誤差があるため、今回は漫画版であるTHE ORIGINの解釈のみにのっとって考察するつもりです。

 

作品自体は相当昔のものですが、最近のアニメしか見てなかった僕でも楽しめました。よく絵のタッチが受け付けないから見ないという人がいますが、精巧なストーリー展開と重厚な人間ドラマはそれを度外視できるほど充実したものです。特に感じたことは、この作品には多くの要素が複雑に絡み合い構成された、ドキュメンタリーチックな話なのだということです。戦争、政治、兵器、経済、宗教、友情、恋愛、親、兄弟、これら多くのドラマが描かれていて、それらが包括されたのがファーストガンダムだと思います。

 さらにこの話、一つの壮大な物語のほんの一片であり、まだまだ描かれる未来が存在します。それらを想起させるような、想像してワクワクさせてくれるような、まさに原点としてふさわしいものでもありました。

 

今回は、僭越ながらこの漫画の感想を書き留めておくことが目的なのですが、この作品は語り尽くそうとすると日が暮れるどころか数十日は持ってかれると思うので、ザビ家の話だけ語らせていただこうかなと、、

 

要ザビ家の面々は個性的な人ばかりで、それぞれに別々の考え方と生き方があります。彼らが一年戦争の諸悪の根源ではありますが、要は彼らをただの悪役とみるのではなく、一人の人物として多角的に考察することで、そのキャラをさらに理解できるのではないかという試みです。そもそもキャラが濃いのですぐに理解できる人が多いとは思いますが、戦争下という状況を鑑みないで彼らを評価するとなるとどうなるかという点でも、分析していきたいと思います。

 

ドズル・ザビ

 

ザビ家で一番の良心といえばドズル・ザビのほかにいないでしょう。一年戦争以前からガルマを守り、仲間のために骨を砕く頼もしい兄貴でありました。が、まさか家庭まで持ちいい感じの父ちゃんにもなってしまうとは、、

そんな彼が人類の半数が死滅したといわれる凄惨な戦争になぜ加担するのかと疑問に思うこともありましたが、やはりその血筋が、戦争を降りることを許してくれなかったのでしょう。

また彼は単純な思考回路をしているので、戦争をするということがどういうことか十分に想像できてないく、すべてが始まってしまった頃にようやく大量殺人がどういう訳か、ミネバを見て気付いていました。

このころにはもう、もともと持つ温厚な人格に、ジオン家の誇りという大義、上書きされていて、どうしても戦場に赴き戦わなければならない存在となっていました。軍の司令官としても軍人を重宝する仲間思いのドズルは、戦争という状況を断じて許容できなかったと思われますが、それでもザビ家という家族の誇りのため、軍の仲間のために戦い抜いたところに、最高の男らしさがあると、私は思います。

 

キシリア・ザビ

 

アニメ版だと語られることの少なかった彼女ですが、THE ORIGINではザビ家少女としてのカリスマ性を十二分に発揮し、様々な狡猾な策を練ってザビ家の頂点、もといジオン公国の支配者になろうと企んでいたことがわかります。

ジオンダイクン暗殺の時から、ギレンとは不仲で、キシリアはギレンのやり方がずっと気に入らなかった様子でした。それか、ただ単に嫌いだったのかもしれません。実際、いろんな人に「私はギレンが好かん!」と豪語していたわけですし。

 ア・バオア・クーでの最終決戦の際、デギンを殺害したギレンを父親殺しということでその頭を打ちぬき、代わりに総司令官となったわけですが、そこまでする必要があったのかなと、少し疑問に思ったりします。というのも、結局ギレン派の連中やアルテイシア様万歳派の連中が謀反を起こしてしまったわけですし、ア・バオア・クーを捨てるしかなくなったのも決してジオンにとって良いことではなかったので、、、

これはギレンにも同じことが言えますが、あのような最終局面という状況が、その本性を垣間見せたということと推察します。ギレンがデギンを殺したと聞き、これは出し抜く最後のチャンスだと思い、いてもたってもいられなくなり、ことを急ぎすぎてあのようなことをしてしまったのだと思います。それも、ジオンや父親のためというより、「自分がギレンが嫌いだから」という理由でです。

また、キシリアはジオンダイクンが持つスペースノイド主義や人の改革などの政治的思想にはあまり興味を示した様子はなかったのと、ジオンに特別な思いれがあるようにも思えませんでした。彼女はギレンを出し抜き連邦に勝利すればそれでよくて、恋人や友人にも興味はなく、非常に自己中心的な生き方をしています。つまりは、彼女は自身の傲慢さに純粋にしたがって生きてきた人物なのだと読み取ることができます。結局その傲慢さが理性をうわ待ってしまい、ア・バオア・クーでの浅はかな行動をとったのだと感じます。

 

ガルマ・ザビ

 

ザビ家の紅一点。一番かわいい。彼はその可愛さと初々しさからギレン以外のザビ一家から可愛がられていました。キシリアが可愛がっていたわけは単に忠誠心をはぐくむためらしいですが、、、一年戦争時のガルマは割と早々に退場してしまうので、あまりその本質を読み取ることはできませんが、THE ORIGINではシャアの過去辺が収録されているため、そこでガルマの可愛さ個性を理解できます。

ガルマは末っ子ゆえに、ザビ家の中で一番遅れをとっていると感じ、常に劣等感を抱えていました。そのため、軍士官学校では兄弟たちに引けを取らないように勉学に励みました。そして実際に、実技以外の教科では最高の成績を収めていました。そんなガルマでも、同じ軍士官学校に通い、全教科オールパーフェクトのチートみたいな成績をとるキャスバル・レム・ダイクンことシャア・アズナブルと出会い、ライバル視するようになります。しかし、ある一件で二人は仲良しとなり、互いに高めあう良き友人となりました。

ガルマは能力はあるものの、体が小さく体力面ではザビ一家の中で劣ってしまい、また、割と小心者なところもあり、軍人向きではない人物に見えます。しかし、幼いころからギレンやキシリアといったカリスマ性あふれる凛々しい姿を見て育ったため、自分そうでなければならないと奮い立たせ、背伸びをし、強がって見せる面もあります。

こうしたガルマが一番頼ったのは、なんでも出来ていつも冷静沈着かつ肝が据わったシャアでした。何かあるとシャアに助言を求めたりしていました。ザビ家の男として相応な人物になるために、努力しても届かないところは、シャアに補ってもらう、という軽く依存していたといっても過言ではない状態でした。

ガルマの結末は、知っての通りシャアに裏切られ、WBへのカミカゼ特攻により死亡しました。シャアへの信頼が少し絶対的過ぎたための油断と自身の焦りから、悲劇的な死を遂げたわけなのですが、ガルマもザビ家として生まれていなければ、またザビ家だったとしても軍人になっていなければ、もっと彼自身に向いた人生を送れていたと思います。ガルマの死を聞きひどく落ち込んでいたデギンも、ガルマには学者にさせればよかった、みたいなこと言ってましたし。また、シャアとの関係も、もっと良好なもので、生涯の親友となっていたはずです。小心者でも愛されキャラで、無垢で誠実な姿は、戦争という過酷な環境では似つかわしくなく、もし違う世界線が存在するなら、そこではずっと幸せであってほしいと思わせる、そんな人物であると思います。

 

デギン・ザビ

 

一年戦争を始めた元凶ともいえる人物です。戦争が始まる前までは、ジオン・ズム・ダイクンと協力関係にあり、理想主義的なダイクンと現実主義的なデギンとでうまくバランスをとりながらジオン公国を制御していました。しかし、徐々にダイクン派とザビ派の派閥争いが生まれていき、最終的にダイクンは暗殺され、ジオンの反連邦勢力は急激に拡大し、ヒートアップします。この暗殺はザビ家によるものという説が有力ですが、その実情は実ははっきりしていません。どちらにしろ、ジオン公国の支配権を事実上ザビ派が握ることになります。ジオン共和国の完全な独立を望んだデギンはギレンに全権を譲渡し、連邦に宣戦布告します。

デギンは、ダイクンとザビで対立していたころは、公国の統治に積極的でありましたが、妻の死やサスロの死によってだんだんとその勢いを失っていきます。一年戦争勃発時にはギレンに全権を譲渡し、自身は実質的な隠居状態となったものの、急進的な方法で理想の実現を目指すキシリアとギレンらと対立することになっていきました。ガルマの戦死を聞いた際、もっていた杖を落とすほどショックを受けており、何だか気の毒な気持ちになったのを覚えています。彼はのちに、この戦争をやるにしても犠牲があまりにも多すぎた、というようなことを発言していて、失った家族の重みを噛みしめ、自責の念に駆られていました。

彼は大きな戦争の始まりを作ったとも言えますが、最終的には家族のことが何よりも大事なのだと後悔し、ギレンの独裁を止めようと、連邦との休戦を積極的に推し進めていました。公王という立場でありながら、ザビ家を支える父親でもあるため、その板挟みで苦悩に満ちてしまいます。

彼は今後、ジオンと連邦の長い長い戦争を始めた発端の人物として語り継がれ、その名を畏怖や敬愛の念をもって語り継がれるでしょうが、その実は家族と共にただ健やかでありたかっただけだったのかもしれません。

 

ギレン

 

クズです。

 正真正銘、宇宙戦争をここまで悲惨なものにした張本人ですね。やってることはナチスドイツや毛沢東などの築こうとした帝国主義に似ているのに、またそれは失敗の歴史とさんざん言われていたのにも関わらず、持ち前の執念深さでジオンを形骸化させた浅はかな野郎です。こいつさえいなければザビ家ももう少し安泰だったのではないでしょうか。

 

いかがだったでしょうか。

ダンダムに関してはまだまだ初歩の初歩ですので、浅い考察ではあると思いますが、ファーストガンダムTHE ORIGINを読んだ率直な感想を書かせていただきました。

 

この次はZを見ようかと思ってるので、その時にまた何か書こうと考えてます~。